立ち上がりが最も早いワイヤーとは?
少し前に、メカニカルMODの素材についてまとめてみました。
結果としては「素材は誤差の範囲」という結論に至りました。
では、どうして立ち上がりに大きな差が生まれるのでしょうか?
VAPEの味わいやミスト量に大きな影響を与える一番の要因は抵抗値です。
では、抵抗値を下げれば立ち上がりが早くなるのかと言うと、そうでもありません。
そこで、今回はどうやったらコイルの立ち上がりを早くできるのかということについて考えてみたいと思います。
そして、あわよくば、前回見つけることのできなかった【爆速の立ち上がり】のヒントも見つけられたらなと思います!
どうやって調べる?
最初にぶち当たった壁はこの「どうやって比較検証するか」という点です。
立ち上がりの違いが、抵抗値によるものなのかワイヤーによるものなのかを突き止めなければなりません。
そのあたりは貴族が動画にしてくれています。
カンタルとNi80(ニクロム)の比較動画ですが、簡単にまとめると…
- 抵抗値が同じだと、立ち上がりは同じ
- 質量が同じ(同ワット)だと、Ni80が早い
- Ni80の方が長さあたりの抵抗値は低い(巻き数が稼げる)
ということでした。
1.抵抗値が同じだと、立ち上がりは同じ
これは多くの方が予想できたと思います。
カンタルだろうが、ニクロムだろうが、抵抗値が同じなら立ち上がりも同じでないと大変です。
※逆に同じでよかったと思っています。笑
これが違っていたら、私のビルドテクで巻き数を考えながら抵抗値を揃えるという途方もない作業が待っていると思ったからです。
2.質量が同じ(同ワット)だと、Ni80が早い
体感としてはカンタルよりNi80の方が早いという印象ですが、まだまだ感覚の域を出ません。
質量を同じにした場合、抵抗値的にはカンタル>Ni80となっていました。
この結果だけで「抵抗値が低い=立ち上がりが早い」と結論付けるのは時期尚早というものです。
大事なのはMODからの出力がワット数で合わされていたということ。
ワット数とボルテージの違いについては、以下の記事を参考にしてみてください。
つまり、ワット数というのは使用された電気の量、つまり、出力側の数値ではないということなのです。
出力の値はあくまで”V”のボルテージなので、Vで揃えて初めて「○○のが早い」と結論付けられるのです。
今回は、Ni80の方が低ボルテージであるにもかかわらず立ち上がりは早くなりました。
このことから、同じボルトに設定するとNi80の立ち上がりがさらに早くなることは目に見えています。
なので、カンタルとNi80では、Ni80の方が立ち上がりが早いと結論付けられます。
ですが、他のワイヤーも交えて検証するには、やはりV数を合わせる必要があるなと感じました。
以上の結果から導き出した、検証条件
貴族の動画を参考に、私が検証する際の条件を設定します。
- 質量(巻き数)を揃えて測定する
- 出力はV数を基準に設定する(3.7V)
a.の条件に設定したのは、貴族の1.を参考にした結果です。
どれだけ頑張って抵抗値を揃えたとしても、抵抗値が同じなら立ち上がりも同じになるということから、抵抗値は立ち上がりに影響を与えないということが判明しているからです。
b.の条件に関しては、出力を揃えたかったからです。
テクニカルMODであれば、立ち上がりをよくしたければ単純にワット数をあげればいいですし、Curve MODEなどを利用すれば簡単に立ち上がりを早めることができます。
しかし、同じことはメカニカルMODでは通用しません。
メカニカルMODで立ち上がりを早めることができて、初めてこの実験が意味のあるものになるのです。
- 質量(巻き数)を揃えて測定する
- 出力はV数を基準に設定する(3.7V)
この2つの基準を元に、検証していきたいと思います。
カンタル、SS316L、Ni80の26Gで実験!
今回の実験は、この3種類のワイヤーで実験を行いたいと思います。
なぜかって?
私が持っているワイヤーがこれしかないからです。笑
ですが、多くのVAPERがこの3種類を使用していると思いますし、気になる方は同じ要領で検証することもできるというものです。
【選べる2種類】Kanthal A1(カンタル) SS316L NI80 SS430
いよいよ実験
質量を揃えるために、それぞれの26Gワイヤーを集めました。
左から、カンタル、Ni80、SS316Lです。
それらを3mm軸で8巻のマイクロコイルを作成し、コイルレッグの長さもできるだけ一定になるようにしました。
コイル質量をできるだけ一定に保った状態で、各ワイヤーの立ち上がりの時間を測定します。
設定する出力は、抵抗値に関係なく3.7Vになるようにワット数を調整しています。
メカニカルMODを使用しようかと思ったのですが、実験途中で電圧が変わってしまう可能性があります。
なので、手持ちの中で最新&最高のCylon 218Wを使用して、同じ3.7VになるようにW数を調整してあります。
カンタル(抵抗値:0.88Ω)
貴族の実験でもお分かりかと思いますが、おそらく三種類の中で一番立ち上がりは遅いです。
一応指標となるワイヤーですので、同じ条件で実験しておきます。
手元のストップウォッチで、ファイヤしてから完全に赤熱するまで約5秒でした。
慣れした親しんだ立ち上がりですね。
この立ち上がりの感じを基準に見ていきたいと思います。
SS316L(抵抗値:0.5Ω)
個人的には最も早いのではないかと期待しているステンレスです。
さて、実際に立ち上がりを見てみましょう。
やはり体感的にはカンタルより早い印象。
手元の時計では、ファイヤから完全赤熱まで約3秒と、カンタルと比べても約2秒ほど立ち上がりが早いという結果になりました。
Ni80(抵抗値:0.9Ω)
最近グイグイ来ているNi80です。
SSよりも抵抗値が高くなりやすいので、カンタルに近い感覚で巻くことができます。
同じようにファイヤから赤熱までの時間は約3.5秒でした。
立ち上がりが早いと言われるNi80の名の通り、カンタルよりも早く立ち上がることが実験でも明らかになりました。
【結論】最も早いワイヤーは?
コンマ数秒の世界まで測ったわけではありませんが、今回の実験で最も立ち上がりが早かったワイヤーは、ステンレスワイヤー(SS)ということになりました。
前々からステンレスの立ち上がりは早いとは思っていたのですが、実験で正式に調べることができました。
とはいえ、SSとNi80の立ち上がりは約0.5秒程なので、誤差と言えば誤差の範囲ということになるかもしれません。
それに、カンタルにはカンタルの良さ、Ni80にはNi80の良さがありますし、長さあたりの抵抗値も違います。
ですので、しっかりと狙い通りの立ち上がりと抵抗値で、アトマに合ったセッティングできるようになることの方が大切です。
この実験を参考にしてもらって、みなさんのビルドの幅が広がりますように!
コメント
まず以下の検証動画をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=5A4YTUbv-jQ&t
電圧・電流・抵抗値には違いがあります。
しかし立ち上がりに差は生じていません。
何故でしょうか?
PS.何度消しても無駄です(私は粘着質であることをある意味自負しています)
本当ですね。笑
ここまで粘着質な方は初めてです。
では、文系で馬鹿な私にも分かるようにご説明ください。長くなってしまっても構いませんので、どうぞ存分にご教授くださいませ。
前置きとして・・・何故ここまで粘着するかというと、貴方みたいな知ったかぶりが間違った情報を発信することで負のスパイラルを招く故にそれを防ぎたいからです。
では本題となりますが、まず原点的な部分は熱容量の問題です。
例えば1Lの水と2Lの水があった場合に、同じ火力で温めた場合はどちらがより早く温まるか?といった内容が関係します。
そしてこれを逆転的に見るなら、1Lの水が二つあった場合に一方はもう片方より強い火力で温めた場合はどちらがより早く温まるか?といった内容が関係します。
ここで言うところの水の量がコイルの体積(厳密に言えばワイヤーの体積)、火力の大きさが電力の大きさに該当します。
以上を踏まえた上で、ではここで1Lの水を二つ用意して同じ火力で温めた場合はどうなるか?ということが本件の答えになります。
動画をご覧いただければ判るとおり、カンタルもニクロムも同じ線径であり、更にどちらも同じ長さにしています。
これは即ち体積比および面積比が同じということです。
そうでしたか。
それはどうもありがとうございました。
ではもう一度きちんと定規等でワイヤーを採寸して、間違い無く体積比・面積比が同じであることを確認して、その結果を動画にして上げてください。
ここを訂正しないなら、以後ずっと粘着しつづけますので・・・
言い忘れていましたが、定規等で測らずただ単に巻き数だとかそういったことを基準にしても駄目です。
金属は曲げれば必ず強い応力があるので、その応力によりワイヤー長はズレます。
更に螺旋状になるので螺旋の角度の違いもズレを招きます。
すみません、では何を基準に長さを測ればいいのですか?
あと、応力やコイル角度がどうのこうのの辺りを詳しくお願いできますか?
参考にさせていただきますので、よろしくおねがいします。